“NATAL”—「出生」を意味するとおり、過去の伝統や現在の流行、さまざまなアートやカルチャーを独自の視点で解釈し、ユーモアやエッジを効かせた今までにないアイテムを展開している【NATAL DESIGN】。BE YOURSELF!【NATAL DESIGN】のアイテムを身に付けたり、使用したりしているときに、”HAPPY”だったり、"FUN"だったり、すこしでも着る方の感情が高ぶるアイテムが作れたら...そういうモノ作りを目指しているブランドです。今回はBrownfloorバイヤーの萩生田が【NATAL DESIGN】ディレクターのGOTOHさんにお話を伺ってきました。
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1999年がブランドスタートで、来年が20周年。(取材当時:2018年2月)
そうですね。周年のこと何もやったことないですけど。笑
何も予定ないんですか?
今のところ何も考えてないけど、やれればいいかな。その余裕があれば。笑
なるほど。
ではまず、洋服のブランドって、基本的にはSS(春夏)とAW(秋冬)、あとスポット(別注などの企画もの)をいくつか挟むところが多いと思うんですけど、そのシーズンを作るときのテーマってあったりしますか?
たとえば国で縛って「今回のイメージソースは○○国です」とか。
そういう明確なのはないですかね。
逆にいいと思ったものをいいと思ったタイミングで出すっていうのしかないので、こだわりが。
なるべくおもしろいものをおもしろいと思ってもらえるタイミングで出せたらっていうのがコレクションの発表が遅れたりする理由です。笑
そういう流れがうまくできないかなっていう実験段階ですかね。
20年目にしてまだ実験しているっていう。笑
なるほど。笑
でもベーシックなアイテムも出しますよね?ヘンプTとか。
そうですね。
ああいうのは年中着れるし、ベーシックで着心地もいいっていうので出すけど、あれも袖が短かったりとか、ちょっと個性的なので、なかなか普通の人たちがほしいかと言ったらわからないですが、ネイタルのこと好きな人は「毎年これあるんだ」って買ってくれたりとか。
もちろんベーシックもたくさん作っていきたいけど、飽きちゃうようなものは作りたくないので。
「ずっと着られるもの」っていうのはテーマのひとつではありますけど。
週末お店に立ってるんですけど、「他の部分がすごくベーシックでも、【ネイタルデザイン】の服を合わせるだけでオシャレに見える」っていう方が多いように思うんです。ちなみに、お客さんに合わせていくような作り方ってします?
欠点を補うっていう意味では意識してる部分はあると思います。
例えば「お尻が大きい」とかそういうのってコンプレックスだったりすると思うんですけど、S600とか、ポケットのラインがお尻のラインに沿うとお尻の大きさよりポケットに目がいくから良いんじゃないか?とか、そういうのは考えたりはしてます。
もちろんみんな洋服を着てかっこよくなりたいとか、可愛くなりたいとかあるわけだから、そのへんの考えはありますかね。
なるほど。
あとは、○○を作りたいけど、逆にそれが流行ってたりすると避ける。
例えば「今こういうオーバーオールが流行っているよね」っていうとそれは作らないと思います。
ちょっとあまのじゃくみたいな?
あまのじゃくっていうんじゃないけど、完全に独自のものを探したいっていうほうが強いです。
独自のトレンドを発信するって感じですか?
そこまでおこがましくもないんだけど、なるべく自分たちらしいスタンスでやっていきたいっていうのが強いんだと思います。
じゃあ、来年で20周年、あまり意識してないってことでしたけど、20年でブランドとしての考え方の変遷とかあったりします?
以前に比べて変わったところとか「こうしたかったけどこうなっちゃった」みたいのでもかまわないんですけど。
うーん…目指してるところがそもそもあるのかどうか。笑
そういう意味では、そんなに計画するほど余裕はないかな。
常に一生懸命やってる感じはあるけど、ちょっといろいろやりすぎてるかな、と。普通に考えて。
まずこれだけ世の中にフェスがある中で自分たち主導でフェス(※)をやる必要はないかもしれない。
フェスをはじめて5年目ですが、色んなジャンルの刺激的な人と絡んでたくさんの仲間が増えたと思っています。
あと、今でいうとけっこう大手のデザインや仲間のブランドのお手伝いもやったりしていて…
それもそれでネイタルデザインを進めるために必ずやる必要はないと言えばない。
ただ僕たちのデザインが何万人の人がつかうかもしれないアイテムだったり、外国市場にうまくのせるためにはどんな考え方でアピールしたら良いんだろうと、頭をつかって考えるし、得るものはとても大きいと思ってます。
ま、規模の大小は問わずですが、新しい案件にチャレンジするのが根本的に好きなのかもしれません。
もちろん最後は全部ネイタルデザインにフィードバックして自身たちの成長を考えています…多分。笑
※HELLOW NEW DAY…鳥取は大山「FBI DAISEN」で行われるキャンプインスタイルのフェス
【ネイタルデザイン】っていういわゆる洋服のいちブランドとしてだけに集中するタイミングって今後ありそうですか?
今でも基本9割方はネイタルデザインの仕事として動いてるんですけどね。
だけど残りの1割にいろんな種類の仕事があって、それが目に付いちゃうから「なんかネイタル、他の仕事ばっかりして手を抜いているんじゃないか?」って思われてそうだけど。笑
もちろん抜いているどころか、常に本気でやっているんですけど、たまに理解されない事があるという。
ただ僕たちはその残りの1割の要素が今後のネイタルデザインをおもしろい方向に引っ張るためのものだと考えています。
いろいろな要素があるでしょう?仕事って。
たしかに。
でも最終的にはぜんぶ【ネイタルデザイン】に還元させるための。
そう。ぜんぶフィードバックしたい、興味のあるものしかやってないつもりです。
物事は大きい見方をしておいたほうがおもしろいかな、と。
いつ回収できるかわからないけど、最終的には還元される?
多分。笑
ぼくらは特殊だとは思いますけどね。なかなかすぐ理解してもらえません。笑
現状を続けていって、最終的にいまの伏線をぜんぶ回収ってなると、壮大すぎて…一代で収まらなくなってくると思うんですけど、そことかって考えられたりしてます?
次の世代にってことですよね?それはすごく(考える)。
今はぼくたち最初の世代ががんばってるけど、次の世代を育てていかないと多分おもしろくないブランドになるし、でも上の世代にも認めてもらいたいって欲もあるのでバランスが難しいところですが。
そういう意味ではありがたいことに最近は良い流れで、僕らより下の世代のお客さまも増えたのですが、ぼくらより10歳以上年上の世代の方からも好きだと言われることも多くなりました。
目の肥えたお客さまに見てもらう機会も増えたので、デザインはもちろん必然的にクオリティも優先事項になってきています。
逆にそのことで値段が上がってしまい、若い人がなかなか買えないようなものも出てきてしまっているかもしれません。
価格、以前に比べると上がってきてますかね、やっぱり。
少しずつ上がっているものもあると思います。
中国で作ったものを日本製にしたりとか、そういうのもあるし…素材もやっぱり「いいもののほうが長く着るね」っていうので変わったりとかはありますしね。
付属1コにしてもボタンをオリジナルでちゃんと作るとか、そういう意味では全部をちゃんとやるようになったから、そりゃ高くなってしまうよね、と。
だけど、僕たちの考える「かっこいいものを作る」というのはデザイン、クオリティをなるべく考えうるベストに近づけることなので、そこは手を抜きたくないと。
ビジネスってのが最初にくるなら、どんどん妥協して、それなりの商品を沢山売ろうと考えるとは思うんですけどね。
でもそこを手を抜かずがんばれば、お客さまが商品を手にしたときに本当に喜んでくれるのだと信じて進んでいます。
それでも単純に高いと言われることもあるんですけどね。笑
では次にコラボについて。
コラボって、誰もが知っているような認知度の高いところだったり、勢いのある新進のブランドだったりとかが普通は多かったりするのかなって勝手に思ってるんですけど、○○とコラボするってどうやって決めたりするんですか?
これに関しては相手の大小や売れている、売れていないに関わらず尊敬できるポイントがあるかが重要だと思っています。
ぼくたちだけで作るよりおもしろいモノができたり、クオリティが高いモノができたりと、コンビを組んでお互い思ってないほど良いアイテムができあがればベストです!
あと最終的なことを言ってしまうと、結局人ですかね。
見ていて良い部分がある、尊敬できるブランドの人は、良い人だし、尊敬できる人だと思っています。
そういう意味ではお金になるということよりは一緒に仕事ができて楽しい人とコラボしたいと思っています。
ぼくたちは北海道(札幌)ですけど、地方都市はじめ【ネイタルデザイン】を取り扱うセレクトショップに「こんな店であってほしいな」とかってあったりしますか?
うーん…各所が自分たちのこだわりを持ってやってくれてたらいいかな、と。
セレクトをやってるってプライドがみんなあってほしい、とは思いますかね。お店としてそれが一番かな?と客観的に(思う)。
スタイルがあるほうがおもしろいかな、と。
じゃあ、ショップが確固たるプライドをもってネイタルをセレクトして、それがお客さんの手にわたって、そのお客さんにどんなふうに思ってほしいとかってあります?
お客さんが自分で着て、「かっこいいな」とか「オシャレだな」とか、「デート行くために買おうかな」っていう、そういう感情があってくれたほうがやっぱりいいですよね。
ただ単にパジャマのために買うより、「とっておきのときだから」って感じで着てほしい。
ぼくたちのテーマで「感情を動かすアイテムを」っていうのがひとつあるんですけど、それがやっぱりいちばん嬉しいかもしれないですね。
お客さまに届いて、お客さまがほんとうの意味で喜ぶみたいな。
やっぱりそうですよね!
ちゃんと(気持ちが)あがる感じで、そういう湧き上がるものをこう、感じてほしいですよね。
そう、感じてほしいですね。せっかく作っているのでね。
「とっておきで今でしょ?」って思ったりしますけどね。笑
それこそ萩生田くんが出張で(ネイタルを)着てきてくれるとやっぱり嬉しい。
日常だったら別に何でもよかったものを、わざわざ東京に来るときに着てくれるっていうのは。
ぼくだって大阪だったり北海道に行くときは好きな服を着ますし。
そんなときのアイテムになったらやっぱり嬉しいですよね。
それ、ありますね。販売してても思います。
多分なんとなく買うにはちょっと個性的なのかな、と。うちって。
だから大学生が週6過ごさなきゃいけないときに買ったらちょっと派手すぎるかもしれない。
まあ、ジャケット系は大丈夫かもしれないけど、G55とかは1回穿いちゃったら週に何回も穿けないかもしれない。
でも結局あれも、好きな人は多分毎日穿いていると思います。笑
カラー違いで何本も買ってくれたりとか。
アーティストや俳優で気に入っていただいている方も多くて、そういう人はどこかの国へ行って絵を描いてても穿いてくれたりするので、好きでいてくれてありがたいなぁって思っています。
そして期待に沿えるよういつまでもがんばらなきゃって思います。
たしかに。同じの買ってくれる人が多いかもしれない。
うちの定番だけど、うちにしかない形なんだろうなあ、と。
そういう人がけっこう多いですかね。